【重要】2025年1月30日時点の記事になります。今後の法改正などについては対応しておりませんので、お気を付けください。
今回はパスワード付き記事になっていて、フォロワーさん限定公開です。
理由としては、かなりグレーゾーンな内容になるため、あまり人目につかない方がいいかな?という判断です。
解釈の仕方によっては違法とも取れるのため、どこかから噛みつかれても困りますし、議論したい訳では無いので。
この辺をご理解頂いた上で読んでください。
前置きはここまでで、以下本文になります。
今日は最近話題に上がることの多くなったマイクロ法人について解説します。
これは個人事業主の方が社会保険に加入するためや個人的な支払いを経費にする技(?)として紹介されてたりしますね。自分周りではグレーゾーンと呼ばれていますが、取り締まる法が無いため、違法ではないという判断をしている方が多いようです。
最初は気軽に書いていたのですが、憲法やその他の補足を読んでいくうちに広い意味では違法?違憲?(この辺の言い回しはあまりよく分かっていません…)なんじゃないかと個人的に思ってきています。この辺は後で軽く補足します。
とりあえずは一般的なメリット、デメリットについて解説していきますね。
メリット1.社会保険の加入
これ会社員の人だと「え?入りたくないんだけど。高いし」ってなると思いますが、個人事業主は違います。
日本は国民皆保険(こくみんかいほけん)制度を取っているので、皆さん健康保険に加入する必要があります。
※この制度で自己負担が少なく病院に行けます。これがなくなると、病院などは今の3倍以上かかるようになります。

えーる
社会保険=健康保険+厚生年金の組み合わになっているので会社員の方はいいのですが、個人事業「主」は社会保険に加入出来ないので国民年金と国民健康保険を支払っています。
国民年金の金額は固定なので特に問題ないのですが、国民健康保険は所得に応じて高くなります。

えーる
個人事業主と会社員の比較
東京都を例に見ていきます。下にリンクも張っておきますので、詳しい計算方法が知りたい方は見てみてください。
住民税課税所得300万円の個人事業主で中央区在住の40歳独身の場合を例にします。
この場合、均等割49,100円と所得割412,500円で合計保険料は494,600円になります。
1ヶ月に直すと41,217円になりますね。
先程が国民健康保険の算定で、国民年金は月に16,980円です。
合計は月に58,197円
今回は独身で計算していますが、配偶者や親族を扶養に入れてると、均等割や収入に応じて所得割が上乗せされます。国民年金も加入義務者であれば個別に支払わなくてはいけませんね。
続いては課税所得300万円を給料で貰った場合を考えてみます。
この場合は約年収600万円になります。下に東京都の社会保険料の料額表のリンクを貼っています。これは都道府県で率が違うのでお住まいの都道府県で調べてください。
今回は年収600万円で、ややこしくなるのでボーナス無しとして計算しますが、月の給料は50万円になります。料額表でいくと30等級の箇所を見てください。
この場合の健康保険は57,900円ですが、半分は会社負担なので自己負担は28,950円。
厚生年金は91,500円で個人負担は45,750円。
合計で74,700円。
合計58,197円の個人事業主と比べると高いですね。
これは個人負担分で見ているので、会社負担まで考えるともっと徴収されています。
ただこちらは何人扶養がいても金額は変わらないので、そこも加味する必要があります。

えーる
マイクロ法人の場合
ここでマイクロ法人を使った場合どうなるか見ていきましょう。
これは個人事業主の方が法人を作って社長になります。そして自分の会社で社会保険に加入します。そうすることで、国民健康保険と国民年金の支払いがなくなります。
このままだと会社員の方から「それだと俺たちと同じじゃん」と言われそうですが、ここからがポイントです。
マイクロ法人から貰う報酬は社会保険料の等級が一番下に来るようにします。一番下の等級こと1等級の月の報酬は63,000円未満なので、その範囲に収まるように設定します。
そうすると、国民健康保険の個人負担額は3,358円で、厚生年金は8,052円済むのです。
社長が自分なので、会社負担も払うので通常より倍を負担することになりますが金額で見ると、6,716円+16,104円+子育て拠出金の209円で23,029円払えばOKです。(今回はわかりやすいように端数は適当に処理しています)
厚生年金は16,104円なので国民年金は16,980円(2025年1月時点)なので年金部分も少し安くなりましたね。
こういうカラクリです。
もちろんこれだと生活出来ないので、メインの収入は個人事業で頑張ります。この収入は当然、社会保険料には反映されません。
会社員の方から怒られそうですが、社会保険が安くなるのはこういうワケなんです。
ここまでの簡単なまとめ
・個人事業主がマイクロ法人を作って社会保険に加入
・法人からの報酬は1等級の範囲に収まるように設定
・扶養人数が多い人ほど、負担額の減少効果は大きくなる
・個人事業分の収入は保険料に反映されなくなる
とりあえず、社会保険だけで見ればこんな感じです。
ただ法人の場合は他にお金の支払いがあるので、そこはデメリットで解説します。
メリット2.個人の支出が経費になる?
続いてはコレです。
これがいけるのが法人の強みですよね。
個人事業主は個人事業主でかなりズルい所がありますけど…。今日は割愛です。
代表的なのは、家賃と車の2つですかね。
これは個人事業主でも可能なのですが、法人の方が格段に経費に出来るハードルが下がります。
家を事業所にする場合、賃貸ならばその契約を法人名義に変更します。
そうすると賃料は全額経費で、社長からは賃料相当額(別途の計算式を使うか、賃料の半額)を貰うことにはなりますが、50%~約70%前後を経費にすることが出来ます。別途の計算式を使うとかなり賃料相当額が安くなるのです。
別途の計算というのは固定資産税評価額を用いた計算なのですが、適用できる条件と計算式がややこしいため顧問税理士に確認してください。
顧問税理士は経費が掛かるので頼んでいないっていう場合は、自力で計算するか聞いてもらえれば税務相談に該当しない一般的な範囲でならお答えします。
個人事業主は事業で使っている割合を計算して、その割合分だけしか経費に出来ないのでかなり少額になると思います。全額経費はまず通らないと思ってください。過去にそういった判決も出ています。
ちなみに家具などはNGです。社宅でも認められません。ただ使用料をとれば経費に出来たりもしますが、この辺は実務ではあまり聞かないので割愛します。個人的には顧問税理士にもあまり聞かないであげて欲しい…。(計算方法がややこしくなる可能性が高いので)
次は車ですが、個人事業主の場合は車検費用やら減価償却費やらを事業割合で経費にしますが、法人で買えば全額経費計上出来ます。
社長の趣味で購入されたと疑われるような高級車は経費から外されたりしますが、一般的には法人名義の車は経費として認められることが多いです。
詳しい事は顧問税理士に!

えーる
正直メリットはこれくらいかと思います。
次からはデメリットや注意点になりますが、ここからが本番だと思ってください。
珍しく攻めた内容になっているので、メリットだけでよければここでブラウザバック推奨です。
デメリット1.個人事業との区別が難しい
個人事業主の方が法人を作る場合は、個人事業を法人で行う様にする「法人成り」というケースが一般的です。これは今までと変わりなく処理できるものがほとんどですし、税理士を付けるはずですので特に問題は起こりません。
ただマイクロ法人の場合、既存の個人事業は据え置いて別に法人を作るので売上や経費を明確に分ける必要があります。
税務調査になると、この確認は間違いなくされると思ってください。マイクロ法人の場合は取引や仕分けが少なくなるので見る箇所は限られてきます。
法人の売上は法人名義の通帳に、個人の売上は個人名義の通帳に入金されているか、請求書の差出人の名前が区別されているかなどです。
法人の名前で請求書を出して個人事業としての売上にしていると、法人の売上認定される可能性が格段に上がります。ほぼ間違いなく、法人の売上では?という指摘が入るはずなので、適正に反論できればいいですが、反論できたとしてもその主張が通るかは難しいと思います。
また、個人と法人の業務内容が近い場合はどちらかの売上に修正を求められる可能性が高いです。その場合は所得が多い方の売上か今まで申告していたほうの売上に認定されると思うので、個人事業の売上になり追加で所得税を支払うなんて事になります。
法人の売上はその分減りますが、もともとそこまで利益が出る体質ではないはずなので総合的な税金は増える可能性が高いです。そして別件で重加算税(仮装・隠ぺいなどの行為をしている)まで課されると今後の調査に選ばれやすくなります。というか定期的に来るようになります。
もちろんキッチリ区分しとけば恐れることはありませんので、線引きを意識しましょう。
デメリット2.法人特有の税金がかかる。
法人は何もしなくても税金がかかります。なんなら売上が0でも税金がかかります。
所得が0という想定で例を上げて見てみましょう。
東京都はややこしかったので、神奈川県横浜市を例にします。
所得(利益)がある場合は法人税等がかかりますが、これは所得が0のケースなので0円です。所得がなくてもかかる税金は都道府県と市町村への税金です。
均等割と言うのですが、資本金が基準以下であれば神奈川県は2万円、横浜市は5万円で合計7万円かかります。県と市も所得があればこれと別に所得割といって所得に応じて税金が加算されます。
均等割は都道府県、市区町村で多少前後するので納税地の均等割を調べて見てください。
この7万円は痛いですので、社会保険料の加入で安くなる金額はよく計算してどちらが本当に安いかはシミュレーションしましょう。

えーる
デメリット3.申告が多少難しくなる
法人は個人と違い、所得が0でも申告をしておかなければ青色申告が取り消されることになります。ずっと所得0のつもりならそこまでデメリットは無いかもしれませんが、青色申告でないと赤字の繰り越しが出来なくなったりするので問題点は多くなります。
そして申告書は確定申告と違い複雑になります。
確定申告は日々の帳簿をつけておけば、申告フォームなどもあり何とか申告できると思いますが、法人税等の申告書はそうはいきません。
申告書が作成出来る会計ソフトを導入するか、税理士に頼むか、税務署で申告用紙を貰い手書きで記入するかの3択になるのかな?と思います。
正直、自分で法人の申告をしているケースを聞いたことがないので、もしかしたら別に方法があるのかもしれません。
基本的にはコストが掛かるため余計な出費が増えます。
ここは触れられていないケースが多いので、自身でどうするか一度考えてみてください。
注意点1.売上が足りない、多すぎる場合の問題点
マイクロ法人を作る際は売上をある程度確保する必要があります。
役員報酬(役員の給料、今回はあなたの給料)は給与所得控除の最低金額である年間650,000円以内(2025年改訂)ですので月5万円ほどに設定することで給与所得は0円になり税金はかかりません。ですので、この範囲で設定される方が多いかと思います。
それと年間7万円の均等割と月の社会保険料を払える程度の売上の確保が必要です。
これが確保できなければ会社のお金が足りなくなので、代表者などからお金を借りる必要があります。
それが何年も続くと決算書を税務署が確認した際に、売上の計上漏れや、脱税をしているんでは無いかという疑いが掛かる可能性が高くなります。何年たってもお金を借り続けなければ運営できない法人は異常ですからね。
ただ税務調査になっても脱税はしていないはずなので法人の申告は問題ないと思いますが、個人の申告も確認することになるはずなので時間がかかります。それに適切な説明や反論が出来る知識がなければ追加で税金を払う事にもなりかねません。
税務調査だけ税理士に対応を頼むと通常より高額な費用を請求されるか顧問契約をするかどちらかになるので負担が増えます。
それを避けるために役員報酬をかなり低額にするという対応をすると社会保険料に加入出来なくなる可能性があります。
この件は年金事務所に確認しましたが、0円でなければ基本は加入出来るはずと回答をもらいました。ただ、数千円~1万円くらいでの届出は見た事がないので実際はどうなるか分からないそうです。社会保険料の自己負担分くらいの役員報酬は確保する必要がありそうでした。

えーる
ある程度の売上が必要と言われるのはこの辺りですね。
逆に売上が多すぎる場合、特にせどりなどの仕入れを伴うものが特に注意が必要です。
仕入価格に上乗せしての売上なので利益自体はそこまで出ないと思いますが、売上額が高くなりやすいのです。
それの何が問題なのかというと、売上額が1,000万円を超えると消費税を納める必要があります。消費税の課税事業者になるのです。
そうなってくると節税効果は無いはずです。むしろ消費税の申告などが伴うので、手間や損をしている可能性が上がってきます。またインボイスの登録なども絡むのでより複雑になりました。

えーる

注意点2.そもそも法律違反?
今回、この記事が限定公開になった最大の理由なのですが、このマイクロ法人は租税回避行為に該当するはずです。
簡単に説明すると、国が意図していない方法を使って税金の負担を少なくする行為です。
憲法では税金は公平に負担する必要があると解釈されているので、その考えには反していると思いますが、マイクロ法人に関しては取り締まる法がないため、租税法律主義を取っている日本では見逃すしかありません。
脱税は違法、節税は合法、これは租税回避行為で取り締まる法がないのでどちらでもないといった感じですね。
そのため、この方法が広まっていくと、何かしらの方法で防ぐような税制が出来る可能性が高いです。
事業所得と給料所得を比較して、事業所得が高い場合は社会保険に加入できないなど。
この租税回避行為についてはいくつか法律が出来ており、マイクロ法人に関わるもので言えば「役員給与のうち不相当に高額な部分の損金不算入(法人税法34条2項)」があります。
類似業種などと比べて高額な役員報酬は法人税の経費からは外しますというやつです。
売上の%とかで計算するはずなので、売上が少ないと役員報酬の一部が経費から外されるなんて言う話も出てくるかもしれませんね。
一切、売上なしで給料と社会保険料の赤字を垂れ流し続ける法人の場合は何も起きないかもしれません…。
この部分は自分なりの解釈が含まれている事と、法律は専門外なので間違っている可能性があります。かなり調べて書きはしたので、大幅に間違っているという事はないと思いますが…。ご容赦ください。
少し難しい話をしましたが、今のところは取り締まる法がない事とそもそも状況的に公平性は保たれているという見方が少しはあると思いますので、問題ないという考え方でもありだと思います。
この方法を使っているからどうこう言うつもりは自分にはありません。
あくまでマイクロ法人について取り巻く内容をまとめようと思っただけですので、ご自身で判断する材料にしていただけたらと思います。
まとめ
・「国民健康保険+国民年金の額」と「社会保険料+固定の税金(均等割)+諸経費」を計算して本当に安くなるのか確認する。
・安くなった分と手間は見合っているのか考える。
・法人と個人の売上と経費はしっかりと区別して管理する。
・売上に気をつける。特に法人と個人の売上を足して1,000万円を超える場合は注意。
・申告はどうするのか考える。
・租税回避行為については少し調べて欲しいです。
簡単にまとめるとこんな感じですかね。
大体のメリットとデメリット・注意点は書けましたが、抜けや説明不足な点はあるかと思います。特殊な事をしているので、参考になるモノが少ないのと、想定される質問等も少なくて困りました。
重ね重ねになりますが、法律面の話については間違っている可能性があります。
また、もともとグレーゾーンと呼ばれており、租税回避行為に該当する可能性は高いですので、あまり議論するような話ではないかと思っています。
長々と最後まで有難うございました。
何か役に立てれば幸いです。
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