食事補助の非課税は月7,500円|社会保険は3分の2で別判定

食事補助の非課税は月7,500円|社会保険は3分の2で別判定 制度・改正対応
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税理士事務所の現場から

社食・弁当の食事補助
税金と社会保険は別の基準

所得税は「半額以上+月7,500円」、社会保険は「3分の2」で判定します

2026年4月から、会社が社員に食事を支給したときの所得税の非課税限度額が、月3,500円から月7,500円に引き上げられました。長く月3,500円のままだった上限が倍以上になり、社員食堂や弁当の補助を見直す会社も増えています。

ただし、会社の負担を月7,500円以内に収めれば非課税になる、というわけではありません。本人が食事代の半分以上を負担していることも必要です。また、社会保険では所得税とはまったく別の基準で判定します。

この記事では、同じ弁当・同じ社員食堂を所得税・社会保険・消費税の3つで判定する方法を、国税庁と日本年金機構の資料の数字を使って整理します。借り上げ社宅と同じく、税金と社会保険で物差しが違うという構造です。
✓ 先に結論
所得税は2つの要件を「両方」満たせば非課税
①本人が食事の価額の50%以上を負担している ②会社の負担が月7,500円以下(税抜)。どちらか一方でも外れると非課税になりません

外れると、会社負担の全額が給与になる
7,500円を超えた部分だけが課税されるのではありません

7,500円は「税抜」で判定する
弁当(8%)と社員食堂(10%)が混ざる場合は、税率ごとに税抜にしてから合計します

社会保険は「告示額の3分の2以上」を本人が負担していれば報酬に入らない
実際の弁当代ではなく、国が都道府県ごとに決めた金額で計算します

現金で渡す食事手当は、税金も社会保険も全額が対象
非課税になるのは、食事そのものを支給する場合です。深夜勤務の夜食代などの例外は、所得税の取扱いです
POINT01
所得税は「半額以上」と「月7,500円以下」の両方が必要
2026年4月1日以後に支給する食事から、上限が7,500円になりました

国税庁は、2026年3月31日に所得税基本通達を改正し、非課税限度額を引き上げました。

⚠ 国税庁「食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて」
「令和8年3月31日に、食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額を月額7,500円(改正前:月額3,500円)に引き上げる法令解釈通達の改正を行いました」

「引上げ後の非課税限度額(7,500円)については、令和8年4月1日以後に支給する食事について適用されます。」

非課税になる要件は、改正後の所得税基本通達36-38の2に定められています。

✓ 非課税になる2つの要件(両方を満たす場合)
① 本人の負担
役員や使用人から実際に受け取っている金額が、食事の価額の50%以上であること

② 会社の負担
食事の価額から本人の負担額を引いた残りが、月額7,500円以下(消費税等を除いた金額)であること

引き上げられたのは②の上限だけです。①の「半額以上」は改正前と変わっていません。会社が月7,500円以内の負担にとどめていても、本人の負担が半額未満なら非課税になりません。この要件は役員にも使用人にも同じように適用されます。

⚠ 「食事の価額」はどう決まるか(国税庁タックスアンサー No.2594)
弁当などを購入して支給する場合
業者に支払う購入金額

社員食堂で会社が作った食事を支給する場合
食事の材料費や調味料など、食事を作るために直接かかった費用の合計額

社員食堂の運営を外部の業者に委託していても、施設を無償で使わせ、材料を提供している場合などは、材料費などの合計額でかまいません
POINT02
要件を外れると、会社負担の全額が給与になる
7,500円を超えた部分だけが課税されるのではありません

要件を満たさなかった場合について、国税庁は次のように説明しています。

⚠ 国税庁タックスアンサー No.2594
「この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を控除した残額が給与として課税されます。」

同じページの具体例は、1か月の食事の価額が13,000円・本人負担が6,000円というものです。会社負担は7,000円で7,500円以下ですが、本人負担6,000円が価額の半分(6,500円)に届いていないため、①の要件を満たしません。その結果、差額の7,000円がすべて給与として課税されます。

✕ よくある誤解
「7,500円を超えた分だけが給与になる」

社宅の50%ルールと同じく、要件を満たすか満たさないかの二択です。会社負担が月8,000円になると、超えた500円ではなく8,000円の全額が給与になります。

とくに注意したいのは、4月の改正に合わせて会社負担を増やした会社です。7,500円に近い設定にしていると、出勤日の多い月だけ上限を超えて全額が課税されることがあります。1食ごとではなく月の合計で判定するためです。

給与として課税される部分は、その月の給与に上乗せして源泉徴収税額を計算します。現金は動かなくても給与として扱うため、年末調整や源泉徴収票の支払金額にも含まれます。

POINT03
7,500円は税抜で判定する
弁当は8%、社員食堂は10%。税率ごとに税抜にしてから合計します

②の「7,500円以下」は、消費税等を除いた金額で判定します。ここで、食事の支給の仕方によって消費税率が違うことが関係してきます。

✓ 食事の支給の仕方と消費税率(国税庁の説明)
弁当を購入して支給する
会社と弁当業者の取引は飲食料品の譲渡なので軽減税率(8%)

弁当業者が配膳などのサービスも行う
いわゆるケータリングとして標準税率(10%)

食堂で食事を提供する
飲食設備のある場所で食べさせるサービスにあたり標準税率(10%)。社内の社員食堂も同じです

国税庁は、弁当と契約食堂の両方で食事を支給した場合の判定例を示しています。

⚠ 国税庁「食事を支給したときの非課税限度額の判定」の事例
弁当 1食900円(税込・8%)、本人負担450円、月15日
契約食堂 1食900円(税込・10%)、本人負担450円、月5日

会社負担(税込)
弁当 (900円−450円)×15日 = 6,750円
食堂 (900円−450円)×5日 = 2,250円
合計 9,000円

会社負担(税抜)
弁当 6,750円×100/108 = 6,250円
食堂 2,250円×100/110 = 2,045.45…円
合計 8,295.45…円 → 10円未満切り捨てで8,290円

8,290円は7,500円を超えるため、税込の9,000円が給与として課税されます

この事例では、本人負担はどちらも半額なので①は満たしています。それでも②で外れるため、会社負担の全額が課税されます。また、判定は税抜で行い、課税される額は税込という点にも注意してください。

⚠ 弁当の消費税率が変わる予定があります
2026年9月15日に閣議決定された大綱では、2027年4月1日から2029年3月31日まで、飲食料品の消費税率を1%に引き下げる方針が示されています(関連法案は今後の国会で審議されます)。

実現すれば、購入して支給する弁当の税率は1%、社員食堂やケータリングは10%のままとなり、税抜にするときの割り戻し方が変わります。判定を税抜で行うこと自体は変わりません。
飲食料品の消費税1%の大綱の内容

税率が1%になる期間と、事業者向けの特例をまとめています。

POINT04
社会保険は「告示額の3分の2」で判定する
実際の弁当代ではなく、国が都道府県ごとに決めた金額を使います

次に社会保険(健康保険・厚生年金保険)です。社会保険では、食事や住宅のようにお金以外の形で渡す給与(現物給与)も、お金に換算して報酬に合算します。

食事の換算には、厚生労働大臣が都道府県ごとに定めた金額(告示額)を使います。2026年4月1日から改定された金額が適用されています。

✓ 食事の告示額の例(東京都・2026年4月から)
1か月あたり 25,500円
1日あたり 850円
朝食のみ 210円 / 昼食のみ 300円 / 夕食のみ 340円

※日本年金機構「全国現物給与価額一覧表(令和8年度)」より。金額は都道府県ごとに違います

自社の都道府県の金額は、日本年金機構の一覧表で確認できます。
日本年金機構「全国現物給与価額一覧表(厚生労働大臣が定める現物給与の価額)」

47都道府県の食事・住宅の金額をPDFで公開しています。食事は1か月・1日・朝食・昼食・夕食ごとの金額が載っています。

全国現物給与価額一覧表(令和8年度)の抜粋。東京都の食事の額は1か月25,500円、1日850円、朝食210円、昼食300円、夕食340円

出典:日本年金機構「全国現物給与価額一覧表(令和8年度)」の一部。東京都の行の色付けは当サイトによるものです(画像をタップすると拡大表示されます)

⚠ 実際の金額が分かっていても告示額を使う
厚生労働省の通知は、「外食等、価額が明確な場合であっても、食事又は住宅で支払われる報酬等については、告示額により算定すること」としています(厚生労働省「厚生労働大臣が定める現物給与の価額の取扱いについて」)。

600円の弁当を支給していても、東京の昼食なら社会保険では1食300円として計算します。所得税(実際の購入金額)とは出発点から違います。

本人から食事代を受け取っている場合の扱いは、次のとおりです。

✓ 本人負担がある場合(日本年金機構 Q&A)
本人負担が告示額の3分の2以上
→ 現物による食事の供与はないものとして扱う(報酬に入る額は0円)

本人負担が告示額の3分の2未満
→ 告示額から本人負担を引いた額が報酬に入る

日本年金機構の例(東京・1か月25,500円)では、本人負担17,000円なら3分の2(17,000円)以上なので0円、本人負担10,000円なら15,500円が報酬に入ります

社会保険の基準は「3分の2以上」で、所得税の「50%以上」より厳しく見えます。ただし、比べる相手が告示額なので、実際の結果は食事の内容で逆転します。次のPOINTで数字を並べます。

⚠ 健康保険組合の場合
健康保険組合では、規約で別の定めを置いている場合があります(厚生労働省の通知)。この記事の計算は協会けんぽ・日本年金機構の基準によるものです。加入先の案内もあわせて確認してください。
POINT05
同じ弁当を、税金と社会保険で並べて計算する
食事は社宅と逆で、社会保険のほうが軽くなることがあります

ここまでの基準を、同じ弁当に当てはめてみます。

✓ 試算の前提
勤務地 東京 / 支給 昼食の弁当を月20日
弁当の価格 1食540円(税込・8%、税抜500円)

※社会保険は告示額(東京の昼食300円)を使い、日本年金機構のQ&Aの計算方法にもとづく当サイトの試算です。協会けんぽの基準で計算しています
⚠ 本人負担が1食270円(半額)の場合
所得税
① 270円は540円の50%以上 → 満たす
② 会社負担 (540円−270円)×20日 = 5,400円(税込)、税抜 5,000円 → 7,500円以下で満たす
→ 非課税

社会保険
告示額 300円×20日 = 6,000円、その3分の2は4,000円
本人負担 270円×20日 = 5,400円 → 3分の2以上
→ 報酬に入る額 0円

この例は、改正前なら所得税で課税されていたケースです。税抜5,000円は旧上限の3,500円を超えるため、会社負担5,400円の全額が給与になっていました。4月の改正の効果が出るのは、こうした会社です。

✓ 本人負担を変えた場合(同じ弁当・10月も同じ)
本人負担 1食270円(半額)
所得税 → 非課税 / 社会保険 → 0円

本人負担 1食100円
所得税 → ①を満たさず、会社負担 (540円−100円)×20日 = 8,800円が給与として課税
社会保険 → 本人負担2,000円は4,000円未満。6,000円−2,000円 = 4,000円が報酬に入る

無料で支給
所得税 → 540円×20日 = 10,800円が給与として課税
社会保険 → 告示額の 6,000円が報酬に入る

この弁当では、社会保険で報酬に入る額のほうが、所得税で課税される額より小さくなっています。社会保険は告示額(1食300円)で計算するため、実際の弁当代が告示額より高いほど、社会保険のほうが軽くなります。

✕ 社宅と同じ感覚で判断しない
借り上げ社宅では、社会保険の評価額(都道府県の単価×面積)が所得税の賃貸料相当額より高く出るのが普通で、所得税で非課税でも社会保険では報酬に入ることがよくあります。

食事は逆に、所得税で課税されても社会保険では報酬に入らない、あるいは小さくなることがあります。どちらも「税金と社会保険は別の物差し」という点は同じですが、どちらが重くなるかは項目ごとに違うため、それぞれ計算してください。
借り上げ社宅の税金と社会保険

社宅は10月1日から社会保険の評価が総面積に変わります。所得税の50%ルールとの違いを整理しています。

POINT06
現金の補助・夜食・消費税と勘定科目
非課税になるのは、食事そのものを支給する場合です

最後に、食事の支給のまわりで確認しておきたい点をまとめます。

✕ 現金で渡す食事代は非課税にならない
国税庁は、「食事を支給するのではなく、現金で食事代の補助をする場合には、……補助をする全額が給与として課税されます」としています。

社会保険でも、現金で支払う手当はそのまま報酬です。7,500円の非課税限度額は、会社が食事そのものを支給する場合の話です。「月7,500円の食事手当」を給与に上乗せしても非課税にはなりません。
✓ 例外として課税されないもの(所得税)
深夜勤務の夜食代
深夜勤務者に夜食を支給できないため、代わりに金銭を支給する場合は、1回650円以下(税抜)なら課税されません。こちらも2026年4月の改正で300円から650円に引き上げられています

残業・宿日直のときの食事
残業または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてよいとされています(国税庁タックスアンサー No.2594)
社員から受け取る食事代の消費税

本人から食事代を受け取っている場合、その代金に消費税がかかるかどうかは、支給の仕方で分かれます(国税庁タックスアンサー No.6471)。

✓ 食事代の消費税の扱い
社員食堂で無償で提供
対価がないので、消費税の課税関係は生じません

社員食堂で有償で提供
社員から受け取る食事代は課税売上。市場価格より安くても、受け取った金額が対価になります。社員食堂での食事は標準税率(10%)です

外部の契約食堂の食券を社員に有償で渡す
原則は課税売上。ただし、受け取った代金を預り金として処理し、契約食堂への支払いに充てている場合は課税の対象になりません。この場合、会社が契約食堂に支払う金額のうち会社が実際に負担した部分だけが課税仕入れになります

社員食堂を直営している場合、材料の購入代金や水道光熱費、委託している場合の運営委託費は課税仕入れになります。調理する社員に払う給与は課税仕入れになりません。

勘定科目

非課税の要件を満たす食事の支給は、福利厚生費で処理するのが一般的です。要件を満たさず給与として課税される場合は、その金額を給与(給料手当など)として扱い、源泉徴収の対象に含めます。社員から受け取る食事代は、福利厚生費と相殺する方法と、雑収入などに計上する方法があり、会社ごとに決めています。

⚠ 毎月の確認を仕組みにしておく
所得税の②は月の合計で判定するため、出勤日数が多い月や、弁当と社員食堂を併用している月に上限を超えやすくなります。

1食あたりの会社負担 × その月の支給回数を税抜で集計し、7,500円を超えていないかを毎月確認する流れにしておくと、年末調整の段階で慌てずに済みます。
まとめ:食事補助は税金と社会保険で別々に判定する
POINT 01
所得税は2つの要件を両方
→ 本人半額以上+会社月7,500円以下
POINT 02
外れると会社負担の全額が給与
→ 超えた分だけではない
POINT 03
7,500円は税抜で判定
→ 弁当8%・食堂10%で割り戻す
POINT 04
社会保険は告示額の3分の2
→ 実際の弁当代は使わない
POINT 05
食事は社会保険が軽いことも
→ 社宅とは逆になる
POINT 06
現金の食事手当は全額対象
→ 夜食代の例外は所得税の話
食事補助の設計や処理で、判断に迷ったら

食事の支給は、所得税・社会保険・消費税でそれぞれ基準が違い、本人負担の設定を1つ変えるだけで結果が入れ替わります。制度の見直しや毎月の処理の流れを整理したいとき、第三者に一度見てもらうと考えがまとまることがあります。

お金の悩みやそれにまつわる疑問や相談お受けします

税理士事務所での実務経験をもとに、経理まわりのご相談をお受けしています。※具体的な税額の計算・申告書の作成・個別の税務判断は税理士業務のため承っておりません。

本記事は、国税庁「食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて」、国税庁タックスアンサー(No.2594・食事を支給したときの非課税限度額の判定・No.6471)、所得税基本通達36-38の2、消費税の軽減税率制度に関するQ&A、日本年金機構「全国現物給与価額一覧表(令和8年度)」、厚生労働省「厚生労働大臣が定める現物給与の価額の取扱いについて」(令和8年3月17日)をもとに、2026年9月時点の情報を整理したものです。

社会保険の計算例は、日本年金機構の公表資料にもとづく当サイトの試算であり、協会けんぽの基準によります。健康保険組合では規約により別の定めがある場合があります。告示額は年度ごとに改定されるため、最新の一覧表でご確認ください。飲食料品の消費税率の引下げは、2026年9月時点では大綱の段階であり、法律として成立したものではありません。

社会保険の報酬の算定に関する個別の判断は、管轄の年金事務所・健康保険組合または社会保険労務士へ、所得税・消費税の個別の判断は税理士または税務署へご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する助言ではありません。

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