全東信破産で政府が資金繰り支援を発表
加盟店が使える融資・保証制度まとめ
セーフティネット保証1号・日本公庫の特別相談窓口・融資以外の選択肢まで【2026年9月6日更新】
経済産業省の発表と報道を整理すると、支援策は大きく3つです。
- 特別相談窓口の設置: 日本政策金融公庫・商工中金・信用保証協会など、全国378カ所に7月10日から開設。資金繰りの相談を無料で受け付け
- セーフティネット保証1号: 信用保証協会が、通常の保証とは別枠で借入額の100%を保証する制度。全東信に売掛金などの債権を持つ事業者が対象。発表時点では手続き開始の段階だったが、2026年7月31日に官報告示され正式に指定された
- 政府系金融機関への要請: 返済猶予などの既存借入の条件変更、貸出手続きの迅速化、担保の取り扱いの柔軟化を政府が要請
【9月6日更新】読売新聞は2026年7月時点で、全東信への融資について少なくとも21の地域金融機関で計465億円超が回収不能となる見込みと報じていましたが、同紙の9月3日の報道では、少なくとも34の地域金融機関・計539億円超の融資について回収不能や遅延のおそれが生じているとされています。日本経済新聞によると、破産時に債権者となった金融機関は63にのぼります。影響が加盟店だけでなく地域の金融機関にも広がっている規模の大きな倒産だからこそ、国の支援制度が用意されています。使える制度は遠慮せず活用してください。
【9月6日更新】セーフティネット保証1号は2026年7月31日に官報で告示され、全東信が正式に指定されました。「告示待ち」の段階は終わり、現在は市区町村での認定申請が実際に受け付けられている状態です。指定期間は2026年7月6日から2027年7月5日までで、この終期までに市区町村へ認定申請を行う必要があります(大阪市の案内による)。期限まで時間はありますが、認定書を取ってから金融機関の審査を受ける流れなので、早めに動くほど選択肢が残ります。
なお、この問題は国会でも取り上げられました。7月14日の参議院の委員会で首相が「中小企業・小規模事業者の資金繰りへの影響緩和など対策を講じる」と答弁し、経済産業大臣は決済代行業者が金融庁などの監督対象になっていなかったことを踏まえ、決済代行業者の実態調査の検討に言及しています。
まず押さえておきたいのは、最初の一歩は「融資の申し込み」ではなく「相談」でいいということです。特別相談窓口では、自分がどの制度の対象になりそうか、いくらぐらい・どんな条件で借りられそうかを、申し込み前に確認できます。日本政策金融公庫の各支店のほか、事業資金相談ダイヤル(平日9時〜17時)でも受け付けています。
セーフティネット保証1号とは、取引先の大型倒産に巻き込まれた事業者のための保証制度です。国が「この倒産は影響が大きい」と認めた場合に、倒産した会社(今回なら全東信)が指定され、その会社に売掛金などの債権を持つ事業者が対象になります。
- 信用保証協会が借入額の100%を保証する(通常の保証は原則80%)。金融機関にとって貸し倒れリスクがなくなるため、融資審査が通りやすくなる
- 通常の保証枠とは「別枠」。すでに保証付き融資を目一杯使っている事業者でも、追加の枠が確保される
- 対象は、全東信に対して50万円以上の売掛金債権などを持つ中小企業。加えて「債権が50万円未満でも、全東信との取引規模が20%以上であれば対象」という要件もある(大阪市の認定案内による)。未入金額が少額でも、売上の大半をカード決済に頼っていたお店は対象になり得るので、諦めずに窓口で確認を
もう一つ、見落としやすい要件があります。認定を申請する市区町村内に事業所があることです。法人なら本店所在地などの登記上の住所か事業実態のある事業所、個人事業主なら事業実態のある事業所が、その市区町村内にある必要があります。
利用の流れは、①本店(個人事業主は主たる事業所)のある市区町村の商工担当課で「認定」を受ける → ②認定書を持って金融機関・信用保証協会に保証付き融資を申し込む、の2段階です。認定はあくまで「対象者であることの証明」で、融資の審査自体は金融機関と保証協会が行います。
信用保証協会の保証と並ぶもう1つの柱が、日本政策金融公庫(国の政策金融機関)による直接融資です。公庫は今回の破産を受けて特別相談窓口を設け、セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)の要件を緩和して対応するとされています。
- 融資限度額: 国民生活事業(個人事業主・小規模事業者向け)は7,200万円、中小企業事業は7億2,000万円
- 返済期間: 運転資金は10年以内、設備資金は20年以内(いずれも据置期間3年以内)。「据置期間」とは元金の返済を待ってもらい、利息だけ払う期間のこと
- 金利: 基準利率が原則。要件に当てはまる場合は特別利率が適用されることもある。利率は金融情勢で変動し、返済期間や担保の有無でも変わるため、実際の適用金利は窓口で確認を
もう1つ見落としがちなのが、「新しく借りる」以外の支援です。政府は公庫・商工中金・信用保証協会に対して、返済猶予などの既存借入の条件変更に柔軟に対応するよう要請しています。すでに公庫や保証付きの借入がある方は、「追加で借りる」前に「今の返済を一時的に軽くする」相談ができるということです。毎月の返済額が変わると資金繰りは大きく変わります。
資金繰り対策は融資だけではありません。次の3つも合わせて確認してください。
- 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入している場合: 取引先の倒産時に、掛金に応じた共済金の貸付(無利子)を受けられる制度です。今回のケースが貸付の対象になるかを含め、中小企業基盤整備機構や加入窓口(商工会議所・金融機関など)に早めに確認を
- 破産手続きへの債権届出: 未入金の売上金は、破産手続きの中で「債権者」として届け出ることで、配当(残った財産からの分配)を受けられる可能性があります。破産管財人からの案内書類を見落とさないこと
- 貸倒れの経理処理: 回収できなくなった売掛金は、要件を満たせば貸倒損失(回収不能になった債権を損失として処理すること)にできる可能性があります。ただし処理できる時期・金額は破産手続きの進み方で変わるため、自己判断せず税理士に相談を。要件・時期・仕訳の基本は「貸倒損失とは?やさしく解説」にまとめています
→ 窓口・保証・融資緩和の3本柱
→ 別枠で100%保証。市区町村で認定
→ 新規融資に加え返済猶予の相談も
→ 加入者は無利子の貸付を確認
→ 管財人からの案内を見落とさない
→ 時期と金額は税理士に相談を
取引先の倒産は自分では防げませんが、「そのあとの動き」で傷の深さは変わります。①未入金額の資料を整理する、②特別相談窓口に相談する、③使える制度を組み合わせる——この順番で、落ち着いて進めてください。
「自分はどの制度が使えそうか」をまず整理したい方は、無料のチェックツールをどうぞ。
「入金が止まって今後が不安」「借入や返済計画を誰かに整理してほしい」——そんなお悩みのご相談も承っています。税理士事務所での実務経験をもとに、無理のない資金繰り・経理体制づくりをご提案します。
ココナラの出品サービスもありますので、そちらもご活用ください。
お金の悩みやそれにまつわる疑問や相談お受けします 説得力や信頼性が高まる知識をあなたに。- 経済産業省「全東信の破産手続開始により影響を受ける中小企業・小規模事業者への支援を実施します」(2026年7月10日)
https://www.meti.go.jp/press/2026/07/20260710007.html - 中小企業庁「セーフティネット保証制度(1号:連鎖倒産防止)」
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_1gou.html - 大阪市「セーフティネット保証1号の認定申請について(株式会社全東信)」(2026年7月31日)
https://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/page/0000684214.html - ミラサポplus(中小企業庁)のお知らせ
https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/33405/ - 日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」国民生活事業
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html - 日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」中小企業事業
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m_t.html - 金融機関の被害規模: 読売新聞オンライン(2026年9月3日)、日本経済新聞(2026年7月10日)
認定の要件・必要書類・受付方法は市区町村によって案内が異なります。本記事では大阪市の案内を例として参照しています。実際の申請前に、お住まいの市区町村のページを必ずご確認ください。

