全東信破産で政府が資金繰り支援を発表
加盟店が使える融資・保証制度まとめ
セーフティネット保証1号・日本公庫の特別相談窓口・融資以外の選択肢まで【2026年7月25日更新】
経済産業省の発表と報道を整理すると、支援策は大きく3つです。
- 特別相談窓口の設置: 日本政策金融公庫・商工中金・信用保証協会など、全国378カ所に7月10日から開設。資金繰りの相談を無料で受け付け
- セーフティネット保証1号の適用に向けた手続き開始: 信用保証協会が、通常の保証とは別枠で借入額の100%を保証する制度。全東信に売掛金などの債権を持つ事業者が対象になる見込み
- 政府系金融機関への要請: 返済猶予などの既存借入の条件変更、貸出手続きの迅速化、担保の取り扱いの柔軟化を政府が要請
【7月14日追記】読売新聞の報道によると、全東信への融資は少なくとも21の地域金融機関で計465億円超が回収不能となる見込みとされています。影響が加盟店だけでなく地域の金融機関にも広がっている規模の大きな倒産だからこそ、国の支援制度が用意されています。使える制度は遠慮せず活用してください。
【7月17日追記】この問題は国会でも取り上げられ、7月14日の参議院の委員会で首相が「中小企業・小規模事業者の資金繰りへの影響緩和など対策を講じる」と答弁し、金融庁も加盟店支援の状況を説明しました。また、経済産業大臣は決済代行業者が金融庁などの監督対象になっていなかったことを踏まえ、決済代行業者の実態調査の検討に言及しています。政府として継続的に対応する姿勢が示されている一方、セーフティネット保証1号は本記事更新時点でも「官報での告示予定」の段階です(下の注意書き参照)。指定を待つ必要はなく、信用保証協会などの特別相談窓口での事前相談は受付中なので、まず相談から動いてください。
【7月25日追記】ミラサポplus(中小企業庁の支援サイト)の支援情報が7月24日に更新され、セーフティネット保証1号の官報告示は7月31日(金)に実施予定と、具体的な日付が公表されました(ミラサポplusのお知らせ)。告示されると、市区町村での認定手続き(認定を受けてから信用保証協会・金融機関に申し込む流れ)が正式に始まります。事前相談は引き続き受付中なので、認定に必要な書類(全東信に対する売掛金などの債権がわかる資料)を今のうちに揃えておくと、告示後すぐに動けます。
まず押さえておきたいのは、最初の一歩は「融資の申し込み」ではなく「相談」でいいということです。特別相談窓口では、自分がどの制度の対象になりそうか、いくらぐらい・どんな条件で借りられそうかを、申し込み前に確認できます。日本政策金融公庫の各支店のほか、事業資金相談ダイヤル(平日9時〜17時)でも受け付けています。
【7月25日追記】その後、官報告示は7月31日(金)実施予定と公表されました(上の7月25日追記参照)。
セーフティネット保証1号とは、取引先の大型倒産に巻き込まれた事業者のための保証制度です。国が「この倒産は影響が大きい」と認めた場合に、倒産した会社(今回なら全東信)が指定され、その会社に売掛金などの債権を持つ事業者が対象になります。
- 信用保証協会が借入額の100%を保証する(通常の保証は原則80%)。金融機関にとって貸し倒れリスクがなくなるため、融資審査が通りやすくなる
- 通常の保証枠とは「別枠」。すでに保証付き融資を目一杯使っている事業者でも、追加の枠が確保される
- 対象の目安は、指定された会社に対して50万円以上の売掛金債権などを持つ中小企業。さらに1号には「債権が50万円未満でも、その会社との取引が全取引の20%以上を占めていれば対象」という要件もある(一般的な1号の認定要件。今回の正式な要件は指定後の公表を確認)。未入金額が少額でも、売上の大半をカード決済に頼っていたお店は対象になり得るので、諦めずに窓口で確認を
利用の流れは、①本店(個人事業主は主たる事業所)のある市区町村の商工担当課で「認定」を受ける → ②認定書を持って金融機関・信用保証協会に保証付き融資を申し込む、の2段階です。認定はあくまで「対象者であることの証明」で、融資の審査自体は金融機関と保証協会が行います。
信用保証協会の保証と並ぶもう1つの柱が、日本政策金融公庫(国の政策金融機関)による直接融資です。公庫は今回の破産を受けて特別相談窓口を設け、セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)の要件を緩和して対応するとされています。
- 融資限度額: 国民生活事業(個人事業主・小規模事業者向け)は7,200万円、中小企業事業は7億2,000万円
- 返済期間: 運転資金は10年以内、設備資金は20年以内(いずれも据置期間3年以内)。「据置期間」とは元金の返済を待ってもらい、利息だけ払う期間のこと
- 金利・必要書類: 公表ページには明記がなく、状況により異なるため、窓口での確認が必要
もう1つ見落としがちなのが、「新しく借りる」以外の支援です。政府は公庫・商工中金・信用保証協会に対して、返済猶予などの既存借入の条件変更に柔軟に対応するよう要請しています。すでに公庫や保証付きの借入がある方は、「追加で借りる」前に「今の返済を一時的に軽くする」相談ができるということです。毎月の返済額が変わると資金繰りは大きく変わります。
資金繰り対策は融資だけではありません。次の3つも合わせて確認してください。
- 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入している場合: 取引先の倒産時に、掛金に応じた共済金の貸付(無利子)を受けられる制度です。今回のケースが貸付の対象になるかを含め、中小企業基盤整備機構や加入窓口(商工会議所・金融機関など)に早めに確認を
- 破産手続きへの債権届出: 未入金の売上金は、破産手続きの中で「債権者」として届け出ることで、配当(残った財産からの分配)を受けられる可能性があります。破産管財人からの案内書類を見落とさないこと
- 貸倒れの経理処理: 回収できなくなった売掛金は、要件を満たせば貸倒損失(回収不能になった債権を損失として処理すること)にできる可能性があります。ただし処理できる時期・金額は破産手続きの進み方で変わるため、自己判断せず税理士に相談を。要件・時期・仕訳の基本は「貸倒損失とは?やさしく解説」にまとめています
→ 窓口・保証・融資緩和の3本柱
→ 別枠で100%保証。市区町村で認定
→ 新規融資に加え返済猶予の相談も
→ 共済・債権届出・貸倒処理の確認
取引先の倒産は自分では防げませんが、「そのあとの動き」で傷の深さは変わります。①未入金額の資料を整理する、②特別相談窓口に相談する、③使える制度を組み合わせる——この順番で、落ち着いて進めてください。
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