消費税1%は食品以外どうなる
日用品は対象になりません
洗剤・ティッシュ・おむつ・ペットフードの線引きと、混在店舗のレジ設定
ただし実務で厄介なのは、食料品と日用品を同じ店で売っている場合です。ドラッグストア・スーパー・コンビニ・ホームセンターでは、1%と10%が同じレジを通ります。さらにペットフード・おむつ・食品用ラップのように「食べ物に近いのに対象外」という境界もあります。この記事では、何が対象外になるのかを国税庁の原典で確認しながら、混在業態が今から準備すべきことを整理します。
ただし閣議決定は政府としての方針の決定であり、法律の成立ではありません。報道によれば、9月に税制改正大綱をまとめ、秋の臨時国会に関連法案を提出する予定とされています。最終的な対象範囲は法案の内容で決まります。税率・対象範囲・期間・開始時期は今後変更される可能性があります。
閣議決定の原文で何が確定し、何がまだ決まっていないかは、食料品消費税1%が閣議決定|確定したことと未定のことで詳しく整理しています。
食品・飲料/調味料/食品に分類される健康食品/ミネラルウォーター/食用の氷
10%のまま(対象外と整理されるもの)
洗剤・シャンプー・トイレットペーパー・ティッシュ/紙おむつ・生理用品/食品用ラップ・アルミホイル・保存容器/ペットフード・ペット用品/医薬品・医薬部外品(栄養ドリンクの一部を含む)/酒類/水道水
分かれ目は「人の飲用または食用に供されるものか」です。用途が食べ物に近くても、人が口にするもの以外は対象外と整理されます。それぞれの根拠はこのあとPOINT 01〜06で解説します。
報道によれば、今回の引き下げは現在の軽減税率(8%)の対象品目を、そのまま1%に置き換える案です。対象の範囲を新しく作り直すのではなく、すでにある線引きを使って税率だけを下げるという発想です。
その現行の軽減税率で、対象は次のように定められています。
飲食料品とは、食品表示法に規定する食品をいい、一定の一体資産を含みます。
(注1) 食品表示法に規定する食品とは、人の飲用または食用に供されるものをいい、医薬品、医薬部外品および再生医療等製品が含まれず、食品衛生法に規定する添加物が含まれます。
ポイントは「人の飲用または食用に供されるもの」という部分です。日用品・生活雑貨は、そもそも人が口にするものではありません。だから対象に入りません。
「生活必需品だから安くなるはず」と考えると、判定を誤ります。基準は「必需品かどうか」ではなく「食べ物・飲み物かどうか」です。トイレットペーパーもおむつも、生活に欠かせないことと税率の判定は結び付いていません。
実務で判定を間違えやすいのは、食べ物のすぐそばにあるのに対象外というグループです。売場が隣接しているぶん、商品マスタの設定ミスも起きやすくなります。
- ペットフード・ペット用おやつ/人が食べるものではないため。犬用ケーキ・猫用ミルクも同じ
- 食品用ラップ・アルミホイル・保存容器・割り箸/食品に触れるが、それ自体は食品ではない
- 紙おむつ・生理用品・ウェットティッシュ/衛生用品であり食品ではない
- 水道水/飲用以外(風呂・洗濯)にも使われるため、生活用水全体の供給として対象外
- 酒類/条文上、飲食料品から明示的に除かれている
ペットフードは特に問い合わせが多い項目です。中身が人間の食品と同等の原料でも、「人の飲用または食用」に供されるものではないため、対象外と整理されます。判定しているのは中身の品質ではなく用途です。
逆に、ミネラルウォーターは対象になります。水道水との違いは、飲用として販売されているかどうかです。同じ「水」でも、供給の形が違えば判定が変わります。
「販売する事業者が、人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した場合には、顧客がそれ以外の目的で購入し、又はそれ以外の目的で使用したとしても、その取引は『飲食料品の譲渡』に該当し、軽減税率の適用対象となります」
つまり、お客様が何に使うかは判定を左右しません。食用として売った塩を買った人が融雪に使っても、判定は変わらないという整理です。逆に、工業用・飼料用として売っているものは、食品用と成分が同じでも対象外になります。店側が何として販売しているかが基準です。
消費税1%の対象品目|どこまでが「飲食料品」か
先ほどの(注1)には、もう一つ重要な除外がありました。「医薬品、医薬部外品および再生医療等製品が含まれず」という部分です。
これが効いてくるのが健康食品・栄養ドリンク・サプリメントの棚です。見た目も陳列場所も似ているのに、薬機法上の分類によって税率が分かれます。
いわゆる健康食品・サプリメント/特定保健用食品(トクホ)/機能性表示食品/栄養機能食品
対象外(医薬品・医薬部外品)
医薬品に分類される栄養ドリンク/医薬部外品の指定を受けたドリンク剤/ビタミン剤などの医薬品
栄養ドリンクは特に分かれやすい商品です。同じ売場に並んでいても、医薬部外品の表示があるものは対象外と整理されます。パッケージの分類表示を見ないと判定できません。
なお、食品添加物は対象に含まれます。(注1)に「食品衛生法に規定する添加物が含まれます」と明記されているためです。重曹やベーキングパウダーのように、食品添加物として販売されているものは対象です。ただし同じ重曹でも掃除用として売られているものは対象外になります。ここでもPOINT 02の「何として売ったか」が効きます。
- 「健康食品はすべて10%」と決めつける/食品に分類されるものは対象になりうる
- 「ドリンク剤だから1%」と決めつける/医薬部外品なら対象外
- 重曹・クエン酸を用途を確認せず一律に設定する/食品用と掃除用で分かれる
ギフトセット・福袋・おまけ付き商品のように、食品と食品以外があらかじめ一体になっていて、全体で一つの価格が付いているものを「一体資産」といいます。国税庁は次のように定めています。
つまり2つの条件を両方満たす必要があります。片方でも外れると、セット全体が10%になります。日用品の部分だけが10%になるのではありません。
- 税抜1万円を超えるお中元セット/食品が9割でも、金額基準で全体が10%
- 洗剤を主体に菓子を添えたギフト/食品が3分の2未満で全体が10%
- 高額な容器に入れた食品/容器の価額が大きいと3分の2を下回りうる
注意したいのは、これが「あらかじめ一体となっていて、価格が一つだけ提示されているもの」に限られる点です。食品と日用品をレジで一緒に買っただけなら一体資産ではなく、それぞれの税率で計算します。また、個々の価格が分かる形で詰め合わせているものも、一体資産には当たらないと整理されます。
ギフト商材を扱う場合は、2027年4月に向けて、セットの構成比と価格帯を先に点検しておくほうが安全です。差が9%に広がるぶん、判定を誤ったときの負担も変わります。
ドラッグストア・スーパー・コンビニ・ホームセンターのように食料品と日用品を同時に扱う店では、税率の判定そのものより商品マスタの設定が実務の中心になります。
現行の軽減税率でも同じ作業は発生していました。しかし今回は8%が1%に変わるため、既存の設定をそのまま使えるとは限りません。
- 税率コードが何種類まで持てるか/1%・10%に加え、経過措置で8%の取引が残る可能性がある
- 軽減税率の設定を「8%」という数値で持っていないか/税率区分でなく数値で持っていると全件の洗い替えになる
- 判定が割れる商品の棚卸し/健康食品・栄養ドリンク・重曹・ペット用品・ラップ類
- 仕入側の税率/販売だけでなく、仕入先からの請求書の税率区分も変わる
- 値札・POPの表示/税込表示の付け替え作業量を見積もっておく
とくに2番目は見落とされがちです。POSや販売管理システムが「軽減税率」という区分で持っていれば税率テーブルの変更で済みますが、商品ごとに8という数値を直接持っている場合は、対象商品を全件書き換える必要が出てきます。自社のシステムがどちらの持ち方をしているかは、早めに確かめておく価値があります。
なお、レジ本体を買い替えるべきかどうかは、今の機器が複数税率と税率改定に対応できるかで判断が変わります。判断材料は別記事で整理しています。
最終的な線引きは法案で決まります。ただ、現行の軽減税率の区分がそのまま使われる前提であれば、いま着手できる作業があります。
- 判定が割れる商品のリスト化/健康食品・ドリンク剤・重曹・ペット用品など、対象外になりうるものを洗い出す
- 商品マスタの持ち方の確認/税率を区分で持っているか、数値で持っているか
- ギフト・セット商材の構成比の点検/1万円・3分の2の2要件に照らして確認する
- システムベンダーへの照会/改定対応の予定と費用、作業時期を先に押さえる
一方で、いま急いで決めなくてよいこともあります。値札の刷り直しや、レジ機器の買い替え発注は、施行日と対象範囲が固まってからでも間に合う場合が多いと考えられます。2027年4月まで時間があるぶん、先に情報を整理し、支出を伴う判断は後ろに置くのが安全です。
なお、個別の品目が最終的にどちらへ区分されるかは、法案の内容と、その後に国税庁から示されるQ&A等で確認する必要があります。現時点で言えるのは、条文上の枠組みが「人の飲用または食用に供されるもの」を基準にしている、という点までです。

