会計ソフトの選び方|優良な電子帳簿の認証で確認する

会計ソフトの選び方|優良な電子帳簿の認証で確認する 日常業務
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税理士事務所の現場から

会計ソフトの選び方
2027年からは「認証」で選ぶ

機能や価格の前に、確認しておくべき一点があります

会計ソフトを選ぶとき、これまでは「使いやすさ」や「価格」で比べるのが普通でした。ところが2027年分(令和9年分)からの青色申告特別控除の改正によって、新しい判断基準が加わります。そのソフトが「優良な電子帳簿」の要件を満たせるかどうかです。ここを外すと、最大75万円の控除が使えません。この記事では、宣伝文句ではなく公的な認証一覧で確認する方法と、副業・個人事業主が最初の1本を選ぶときの現実的な考え方を、税理士事務所で複数のソフトに触れている立場から整理します。
⚠ 先に「いつまでに」を押さえてください
75万円控除が適用されるのは令和9年分、つまり2027年1月1日〜12月31日の取引で、申告するのは2028年3月です。

ただし準備の期限は2026年内です。優良な電子帳簿は2027年1月1日の時点で要件を満たしている必要があり、年の途中で設定をオンにしても遡れません。「まだ2年ある」ではなく「今年中」の話である点が、この改正のいちばんの注意点です。詳しくは青色申告特別控除の改正記事で解説しています。
POINT01
選定基準に「認証」という項目が増えた
使いやすさや価格より先に確認すべきことです

会計ソフトの比較記事は世の中にたくさんありますが、その多くは操作画面の見やすさ・スマホ対応・料金といった観点で書かれています。もちろん大事な要素です。

ただ2027年以降を見据えるなら、その前に確認しておくべき項目があります。そのソフトで作った帳簿が「優良な電子帳簿」の要件を満たせるかどうかです。

理由は単純で、ここを満たさないと75万円控除のルートに乗れないからです。どれだけ操作が快適でも、控除額が10万円変わるほうが金額としては大きくなります。逆に言えば、この条件さえ満たしていれば、あとは好みで選んで構いません。

📖 「優良な電子帳簿」の3要件(国税庁)
イ 訂正削除履歴の保存等(あとから直した記録が残ること)
ロ 帳簿間の相互関連性(仕訳帳と総勘定元帳などがたどれること)
ハ 検索機能の確保(取引年月日・金額・取引先で探せること)

これらは手書きの帳簿やExcelでは基本的に満たせません。訂正履歴が自動で残る仕組みが必要になるためです。「会計ソフトを使うこと」自体が、実質的な前提条件になったと考えてください。

POINT02
宣伝文句ではなく、認証一覧で確認する
第三者が認証した公開リストがあります

各社の公式サイトを見ると、どこも「電子帳簿保存法に対応」と書いてあります。ただこの表記だけでは、優良な電子帳簿まで対応しているのかが判断できません。電子帳簿保存法には複数の区分があり、「対応」の範囲が会社ごとに違うためです。

そこで使えるのが、JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)が公開している「電子帳簿ソフト法的要件認証製品一覧」です。第三者が要件充足を認証したもので、認証を受けた製品は国税庁のサイトにも掲載されます。

実際に一覧で確認できた主な製品は次のとおりです(いずれも自分で帳簿を作るためのパターン1「作成・保存」の認証です)。

  • やよいの青色申告 オンライン(認証番号 106800-00)
  • 弥生会計、やよいの青色申告(認証番号 100700-01)
  • 弥生会計 Next(認証番号 107300-00)
  • マネーフォワード クラウド会計、マネーフォワード クラウド確定申告(認証番号 104400-00)
  • マネーフォワードクラウド会計Plus(認証番号 104500-00)

このほかTKC・ソリマチ・PCAなど、法人や会計事務所で使われる製品も多数掲載されています。個人事業主・副業の方であれば、上記のいずれかが現実的な選択肢になるはずです。

⚠ 一覧にない=使えない、ではありません
JIIMA認証には複数の種類があります。電子帳簿ソフト法的要件認証のほかに、電子取引ソフト法的要件認証やスキャナ保存ソフト法的要件認証などがあり、これらは別の認証です。ある一覧に見当たらないことが、そのまま「優良な電子帳簿に対応していない」ことを意味するとは限りません。

またJIIMA認証は任意の制度です。認証を受けていないソフトが要件を満たせないと決まっているわけでもありません。本記事は特定製品について要件を満たす・満たさないと判定するものではありません。検討中の製品がある場合は、提供元の公式情報で直接ご確認ください。
POINT03
白色申告のままでは、そもそも控除がない
75万円以前の問題として押さえておきたい点です

「まだ副業だし、白色申告で十分」と考えている方は少なくありません。ただ控除の話をするなら、白色申告には青色申告特別控除そのものが存在しません。75万円も65万円も関係なく、控除額はゼロです。

白色申告用のソフトも各社が出していますが、これらは控除を取るための選択肢にはなりません。記帳の手間を減らす目的では有効でも、控除で税負担を下げたいのであれば、青色申告に切り替えるところが出発点になります。

⚠ 青色申告には事前の届出が必要です
青色申告をするには「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出しておく必要があります。原則としてその年の3月15日まで(新たに事業を始めた場合は開業から2か月以内)が期限です。

つまり2027年分から青色申告にしたいなら、2027年3月15日までに申請が必要ということになります。ソフトの準備(2026年内)とは期限が別なので、両方を意識してください。

なお、青色申告に切り替えても紙で申告していると、令和9年分からは控除が10万円になります。複式簿記で帳簿をつけていても、提出方法が紙というだけで55万円が10万円まで下がる改正です。e-Taxでの申告は、実質的に必須の条件になったと考えてください。

POINT04
最初の1本は、どう選ぶか
事務所で複数のソフトに触れている立場からの整理です

筆者は税理士事務所に勤務しており、業務のなかで弥生・マネーフォワードのどちらにも触れる機会があります。個人で契約して使い込んでいるわけではないので、「何年も自分で使った人のレビュー」ではない点は先にお断りしておきます。そのうえで、選定の考え方として実務上妥当だと思うことを書きます。

結論から言うと、認証を満たしているソフト同士であれば、機能差で悩む必要はほとんどありません。どちらも銀行口座やクレジットカードとの連携、仕訳の自動提案、確定申告書の作成まで一通り揃っています。決め手になるのは、次のような点です。

  • サポートが必要か → 初めての確定申告なら、電話・チャットで質問できるプランのほうが安心です。ここは価格差がそのままサポートの厚みの差になります
  • すでに使っているサービスとの相性 → 普段使っている銀行・カード・決済サービスと連携できるかは、実際の入力量に直結します
  • 会計事務所に依頼する予定があるか → 将来的に顧問を頼むなら、その事務所が対応しているソフトに合わせるとやり取りが楽になります
✓ 迷ったときの現実的な進め方
無料で試せる期間を使って、実際に触ってから決めるのがいちばん確実です。会計ソフトは毎日のように開くものなので、画面の相性は人によってはっきり分かれます。

ただし試用のまま年をまたがないよう注意してください。2027年1月1日の時点で本番の帳簿が動いている状態にしておく必要があるため、2026年のうちに使うソフトを決めておくのが安全です。

「やよいの青色申告 オンライン」の場合、公式サイトによるとセルフプランが次年度以降11,800円+税、ベーシックプランが22,800円+税で、2027年3月15日までの申し込み分についてセルフプラン・ベーシックプランを初年度無償とするキャンペーンが案内されています(トータルプランは初年度半額)。サポートが不要ならセルフ、初めてで不安ならベーシック、という分け方が実務的です。

マネーフォワード クラウド確定申告も同様に、認証一覧に掲載されている製品です。どちらを選んでも「優良な電子帳簿」のルートからは外れませんので、あとは操作感やサポートの好みで判断して問題ありません。

いずれのソフトを選ぶ場合も、申し込んだ後に「優良な電子帳簿」に対応する設定が有効になっているかを必ず確認してください。ソフトを契約しただけで自動的に要件を満たすとは限らず、設定やプランによって扱いが変わることがあります。この確認を飛ばすと、1年分の記帳が終わってから要件を満たしていなかったと気づくことになりかねません。

まとめ:2026年内に決めておくべきこと
POINT 01
選定基準に「優良な電子帳簿に対応できるか」が加わった。価格や操作感より先に確認する
POINT 02
確認はJIIMAの認証一覧で。「電子帳簿保存法対応」の表記だけでは判断できない
POINT 03
白色申告には青色申告特別控除がない。青色の承認申請は原則3月15日まで
POINT 04
紙申告のままだと令和9年分から10万円。e-Taxは実質必須になった
POINT 05
認証を満たすソフト同士なら機能差は小さい。サポートの要否と連携先で選ぶ
POINT 06
2027年1月1日から本番稼働が必要。試用のまま年をまたがないこと

会計ソフト選びは、これまで「好みの問題」で済む部分が大きい領域でした。今回の改正で変わったのは、選び方を間違えると控除額という金額の差になって表れるようになった点です。

とはいえ、やるべきことは複雑ではありません。認証一覧で確認できるソフトを選び、2026年内に使い始め、e-Taxで申告する。この3つが揃えば75万円控除の要件に手が届きます。難しいのは中身ではなく、期限が2028年ではなく2026年内だと気づいているかどうかです。

この記事は2026年8月4日時点の公表情報(国税庁「優良な電子帳簿の要件」、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)「電子帳簿ソフト法的要件認証製品一覧」、弥生株式会社「やよいの青色申告 オンライン」料金プランページ)をもとに作成しています。筆者は税理士事務所での業務を通じて本記事で触れた会計ソフトに接する機会がありますが、個人の契約者として長期利用した経験にもとづくレビューではありません。操作感やサポートの評価は利用状況によって異なります。青色申告特別控除の改正は令和9年分(2027年1月1日〜12月31日の取引)から適用される内容であり、施行までに詳細が変更される可能性があります。会計ソフトの個別製品が「優良な電子帳簿」の要件を満たすかどうかは、製品の仕様・設定状況・契約プランによって異なります。本記事は特定の製品について要件を満たす、または満たさないと判定するものではありません。JIIMA認証は任意の認証制度であり、認証の有無が要件充足の唯一の基準ではありません。記載した認証番号・製品名は作成時点で一覧に掲載されていた内容です。料金・キャンペーンの内容および期限は変更される場合がありますので、申し込み前に必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。青色申告の承認申請の期限や要件は個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。
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