新事業進出・ものづくり補助金が統合
最大9,000万円の新補助金を経理目線で解説
第1回公募の申請締切は10月30日18時(7月17日の公募要領改訂で日程変更)。枠ごとの上限額・賃上げ要件・「後払い」の資金繰り・圧縮記帳まで【2026年7月17日時点】
「新事業進出補助金に申請しようと思っていたら、公式サイトに『公募は終了しました』と書いてある」——今そう戸惑っている方が多いはずです。整理すると次のとおりです。
- 旧「中小企業新事業進出補助金」は第4回公募(6月19日締切)で受付終了。公式サイトでは、新規の申請は新制度へ移行すると案内されている
- ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)も同様に、新制度に引き継がれる形になった
- 後継となる「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の第1回公募要領が6月29日に公開。申請受付は2026年9月30日開始、締切は10月30日(金)18時(電子申請のみ)。採択発表は2027年1月頃の予定
- 注意: 当初案内されていた「申請受付8月31日〜9月30日」は、7月17日改訂の公募要領(1.1版)で上記日程に変更された。古い日付を載せたままの解説サイトもあるので、日程は必ず公募要領の最新版で確認を
- なお、旧・新事業進出補助金の第3回公募の採択結果が7月1日に発表され、応募1,212者に対し採択423者(採択率約35%)だった。第4回の採択発表は9月末頃の予定
つまり「これから申請する人」の選択肢は新制度の一本になりました。名前は長くなりましたが、支援する内容は①技術的革新性のある製品・サービスの開発(旧ものづくり系)、②既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出(旧新事業進出系)、③海外市場開拓(輸出)に向けた体制強化の3本立てで、次のPOINTで見る3つの「枠」に対応しています。
申請の枠は3つです。補助上限額は従業員数によって段階的に変わり、大幅な賃上げに取り組む場合の特例で上乗せされます。
- 革新的新製品・サービス枠(旧ものづくり系): 補助上限750万〜2,500万円(賃上げ特例で最大3,500万円)、下限100万円。補助率は中小企業1/2(条件により2/3)、小規模事業者等は2/3
- 新事業進出枠(旧新事業進出系): 補助上限2,500万〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)、下限750万円。補助率は中小企業1/2(条件により2/3)
- グローバル枠(輸出・海外展開): 上限は新事業進出枠と同水準で、補助率は2/3。海外旅費や通訳・翻訳費も対象経費になる
対象経費の中心は機械装置・システム構築費で、新事業進出枠とグローバル枠では建物費も対象です。逆に言うと、人件費や家賃のような「毎月の運転資金」を補助してくれる制度ではありません。
そして経理目線で最重要なのが、全枠共通の基本要件です。補助事業終了後3〜5年の事業計画で、次の達成を求められます。
- 付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を年平均+4.0%以上伸ばす
- 1人あたり給与支給総額を年平均+3.5%以上伸ばす
- 事業場内最低賃金を毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準にする
このほか、次世代育成支援対策推進法にもとづく「一般事業主行動計画」の策定・公表(情報サイト「両立支援のひろば」への掲載)と、子育て等に関する職場環境整備の取り組みも要件です。行動計画の公表には2週間以上の余裕を持つよう公募要領に書かれており、ここで出遅れる会社が意外と多いポイントです。
補助金で一番誤解されているのがここです。補助金は原則「精算払い(後払い)」。採択されたら振り込まれるのではなく、①交付決定 → ②自分のお金で設備を発注・支払い → ③実績報告と検査 → ④やっと入金という順番です。第1回公募のスケジュールで言えば、採択発表が2027年1月頃、そこから交付申請・交付決定を経て、事業実施期間は交付決定日から10〜14か月以内(枠による)。つまり補助金が実際に入金されるのは、早くても2027年後半〜2028年という時間感覚です。数千万円の設備なら、その金額をいったん全額立て替えることになります。
- 立て替え資金(つなぎ資金)の調達を申請と同時に考える。採択通知や交付決定を前提に、金融機関に「つなぎ融資」を相談するのが一般的。採択が決まってから慌てて借りに行くと、事業スケジュールが遅れる
- 原則、交付決定前に発注した経費は補助対象外。「採択されたから」と交付決定を待たずに発注してしまうのは典型的な失敗。発注・契約・支払いの日付ルールは公募要領で必ず確認する
- 補助されるのは経費の1/2〜2/3。残りは自己負担なので、「補助金があるから」と投資額そのものを膨らませすぎない
無事に補助金が入金されたら、経理処理で押さえるポイントは3つです。
- 補助金は収益(雑収入)として法人税・所得税の課税対象。「もらったお金に税金がかかるの?」と驚かれますが、かかります。計上時期は交付決定・入金の状況で判断が分かれるため、期をまたぐ場合は特に注意
- 「圧縮記帳」で一時の税負担を軽くできる場合がある。圧縮記帳とは、補助金で買った固定資産の帳簿価額を補助金の分だけ減らし、補助金への課税を将来に繰り延べる制度。免除ではなく繰り延べだが、入金年度に税金が集中するのを防げる。適用要件や経理方法(直接減額か積立金か)は税理士に相談を
- 補助金そのものは消費税がかからない(不課税)。一方で、補助対象経費の消費税分は仕入税額控除との関係で、後日「消費税仕入控除税額の報告・返還」を求められる場合がある。実績報告の際に事務局の案内を確認する
一方で、採択されなかった場合。旧制度の第3回公募の採択率は約35%——3人に2人は落ちるのが現実です。落ちても再公募に再申請できますし、投資規模が小さいなら小規模事業者持続化補助金など別の制度も候補になります。不採択を前提に「補助金がなくても成立する投資計画か」を先に固めておくことが、結局いちばんの防御策です。
→ 第1回公募は10月30日18時締切
→ 賃上げ要件は未達で返還リスク
→ つなぎ資金を申請と同時に設計
→ 圧縮記帳・消費税の扱いを確認
最新の公募要領・申請様式は、必ず公式サイト(中小企業基盤整備機構)とミラサポplusのお知らせで確認してください。この記事の金額・要件は第1回公募時点の概要であり、詳細な条件は公募要領が優先します。
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